別冊Offshore(Offshoreからはみでた中国語圏やアジアの文化芸術)

音楽バンドを招聘していた自分の建前と本音

中国最高峰のインディーバンド、万能青年旅店がアジアツアーをするという。 西洋バンドではなくアジアのインディーバンドが、単独で、日本を含むアジアの都市をまわる事例は、過去に少ないと思う。どさ回りのように小さなベニューを無数に廻るヨーロッパツア…

『宇宙船イン・ビトゥイーン号の窓』とTBSバラエティ番組の「方言禁止」ゲーム

TBSのバラエティ番組に沖縄出身の二階堂ふみが出演して、番組内に「方言禁止」のゲームがあり、それがSNS上で話題になり、炎上している。「かつての方言札みたいだ」という意見が多数。 まっさきに連想したのはチェルフィッチュの演劇『宇宙船イン・ビトゥイ…

読みどころのご紹介(『オフショア』第三号―2023/8/22[農暦七月七日 七夕]発売)

『オフショア』第三号、無事に発売となりました! オフショア第三号 演劇、音楽、アートに関わる方、つくり手の方には特に読んでいただきたい号。(というか、自分がそのフィールド出身なので、その界隈の方々に向けてつくっていると言っても過言ではないで…

無料の「立ち読みコーナー」やります@しんながた Hello Market

8/20(日)、神戸からよほど遠くはない場所におられる方、もしよろしければ新長田(長田と新長田があってややこしいんですが新のほう)にお越しになりませんか? 新長田合同庁舎という、新長田の中心地にある建物のなかに、「兵庫県立神戸生活創造センター」…

インボイス制度相談会へ→登録しませんが…

インボイス制度に登録するか否かの相談会に参加。税務署で、無料参加。 今までウェブや書類で眺めていた文字を立体的に頭の中で組み立てられた感覚。という経験は良かったけど、この制度の矛盾がいらだたしい。いらだたしくなるぐらい理解できたということか…

「アーティスト」に話を聞きに行くのをやめてみる(たい)

ふと、アーティストと自分の会話を聞き直していて、非常に重たい気持ちに襲われる。そのとき私が、相手にもう少し踏み込める余地があったのに、具体的な言葉を出してさらなる質問を投げかけなかったところに主にガッカリしている。その場ではどうしてそこま…

映画レビュー:陳凱歌『花の影』(原題:風月、1996)家父長制を批判した映画

月8枚レンタルできるTSUTAYA DISCASがどんどん翌月に枚数繰り越されていく。最近はどうも映画を観るモードにもならずなんだかそんな時間もなく。そうすると、今月6月は、なんと16枚も借りることができてしまうらしい! が、きのうあたりでどうしても書き…

書きたいことメモ

生きるための銭稼ぎにあたふたしているこの数週間。なんだかまとまった時間が取れないが、結構ぽんぽんと書きたいことが出てきているので、忘れないようにスケッチ。

ハトメ手製本の復活🔥『中国と表象 章子怡(チャン・ツィイー)の性描写と顔』

先日、新しくzineを発行。今のところ、驚くほど注文が来ていないけれど、受注生産だからまあいっか、と思っている。 (みなさん、中国に興味がないのか、もうzineというものに興味がないのか? はたまた、告知できてないだけか?) 「zineとか言って採算気に…

『オフショア』第二号:全作品のショートレビュー!(編集・発行人の山本より)

オフショアの今後、長い計画について オフショアという雑誌はどこまで出し続けるかはわかりませんが、今のところ、三段階ぐらいのステップを踏んでいくんだろうなと予測しています。 まず第一段階は、選り分けず、整理せず。第一号から第三号ぐらいまでがこ…

大阪の地面(≒地べた)の展覧会をまわる(FIGYA、Calo、別棟MINE)

GW、数日間頭痛でへばっていたので、やっと全快した昨日は半日で大阪のいきたかった展覧会をぜんぶ回ってきた。FIGYA→Calo→山中suplex別棟MINEの順で。あいだに国際国立美術館でのメル・ボックナー展も見たのだけれど、諸事情あって自分の余裕もなくまったく…

5月第一週の中国演劇界のニュースについて(史航事件と2つの演劇祭と)

午前、中国の大きな国際演劇祭「烏鎮戯劇節」(Wuzhen Theatre Festival)の開催日時発表のニュースを見て少しワクワクしていたら、同時に、中国演劇界のベテランで重要な脚本家・演劇作家、史航による性加害のニュースをweiboで知る。 Twitter上にはできる…

映画『無法松の一生』(阪妻版・三船版)を観て検閲を考える

日々仕事して暮らしていたらなかなか行けない。行きたくなってもきりがないからあまりチェックしない。それが「午前十時の映画祭」。 私にとっては大変珍しく、「これは絶対観なあかん」と半年ほど前からチェックしてスケジュールに書き込んでいた作品が、先…

トラウマ体験を薄めるために

休まずに過ごしていた数ヶ月が終わって、自分の心身に悪影響がないはずがない。ここ1週間ぐらい、どうもまったくやる気が出ない。こういうときは、自己啓発本に限る! 大型書店のエントランス付近にずらっと並ぶ自己啓発本とか、私は結構好きで、そのあたり…

「そして助成金をうまく使う」の意味――ラジオ公開収録イベントに向けて

年末ぐらいからいろんなTODOに追われている。年度末にかけてとても。仕事が多い。おまけに、オフショア第二号の編集、組版と入稿も、この時期に重ねてしまった。 忙しかった日々のピークでは、毎日24時か25時までパソコンに向かい、風呂に入って25時か26時に…

2022年11月、中国の市民によって自発的に歌われた「インターナショナル」

まさか2022年、中国で「インターナショナル」が市民により自発的に歌われるとは思わなかった。 ゼロコロナを目指す中国。ゼロコロナという言葉がもしかしたら数年後、10年後、数十年後にまったく意味が通じない言葉となっていたら不安なので付け足しておくと…

カンフー映画と肉体と犬肉

もう数ヶ月まえのことだけれど、ブルース・リーの映画を初めて見た。『ドラゴン怒りの鉄拳』。1972年の映画。 肉体的な映画に全く興味がなかったのでこのままいけばブルース・リーを一本も見ずに老人になるところだったが、見ておかなければならないと思った…

島根と鳥取たみ、湯梨浜の中国庭園:中国地方旅行レポ02

かなり時間が経ってしまったけれど、以前書いた01に引き続く中国地方旅行レポを書いておく。 yamamotokanako.hatenablog.com 中国地方鳥取、山口へのひとり車旅行。上記の埋め込みリンクから読める01は、最後に訪れた山口でのこと。この同日のYCAMイベントで…

新自由主義とアートマネージメント

youtu.be 今私は2022年北京冬季五輪開会式の映像を見返している。確か当日、生でも見ていたのだが、再び見る。スペクタクル。規模がでかい。そして演出に芯がある。はっきりいって素晴らしい。立春の日に開幕した北京冬季五輪は、「中国には24節気がある」…

グローバリズムと民俗祭祀――YCAM「はじめてのガチ聴き」より宮里千里さんの回を聴いて:中国地方旅行レポ01

先日行ってきた中国地方鳥取、山口へのひとり車旅行について記録。 YCAMで開催された大城真さん監修「はじめてのガチ聴き」9月4日の回に行きたかったので、全然車に乗らないのにまた車検に通してしまった父の車を4日間ほど占有させてもらい中国地方のいろん…

オフショア第一号・こちらが執筆者のみなさんです👉

offshore-mcc.net さて、8月1日(旧暦7月4日)、目標としておりました創刊日になんとか創刊できたということになります。現在、オフショアのオンラインショップでも購入受け付けておりますが、各地の書店の皆さま!ぜひ、店頭で販売していただけるとうれしい…

冒頭試し読み「はじめに」『個人メディアを十年やってわかったこととわからなかったこと』

新しい小冊子『個人メディアを十年やってわかったこととわからなかったこと――オルタナティブ・ネット・音楽シーン』を6月21日に発行します。つきましては、冒頭に書いた「はじめに」を全文公開します。「続きを読む」からご覧ください。 書店で取り扱いを希…

上海ロックダウンとSNS

最近WeChatタイムラインを見ていると、あんぐりと口をあけてしまう。地方都市の中の上クラスのレストランで赤ワインを嗜んでいる友人の写真が流れてきたり、即興音楽のライブ映像が流れてきたり、ライブ情報の告知記事が流れてきたりもするなかに、ロックダ…

2022春晩に関しての若干の意見(包摂、コンテンポラリーと伝統、旧来型家族観)

このタイトルをつけたかっただけ*1のブログ記事となるが、2022年春晩のミニ・レポートを。 春晩とは、中国で毎年旧正月の前夜(つまり大晦日)に開催される、ステージ・パフォーマンスを集めた番組。歌あり、喜劇あり、相声(漫才のような2人の掛け合いしゃ…

中国のリアリティショー『戏剧新生活』について・後編

前編では、中国の国際演劇祭「乌镇戏剧节」(Wuzhen Theatre Festival)と、2021年1月から3月まで動画配信プラットフォーム「爱奇艺」にて配信されたリアリティショー「戏剧新生活」(Theatre for Living)の関係についてざっと紹介した。この後編では、「乌…

鑑賞作品短評 後編 - 山形国際ドキュメンタリー映画祭2021

前編に引き続き、山形国際ドキュメンタリー映画歳2021で私が観た作品の短評。後編は5作品。 (前編はこちら) 『武漢、わたしはここにいる』中国/2021/153分 監督:蘭波(ラン・ボー) https://yidff.jp/2021/program/21p9.html 武漢で劇映画を撮る予定だ…

鑑賞作品短評 前編 - 山形国際ドキュメンタリー映画祭2021

2015年に映画『パーティー51』を、イベント企画内で上映する機会を得てから、毎回なんらかの形でチェックしたり参加しているのが山形国際ドキュメンタリー映画祭。コロナの影響で2021年はオンラインで開催されるということ、また、批評ワークショップに関し…

演劇役者が演劇をつくる、中国のリアリティショー『戏剧新生活』について・前編

中国では今、多くの人がテレビではなくスマホで動画を見るようになり、いくつかある配信プラットフォームがドラマやバラエティ番組、映画ラインナップを充実させ、より多くの視聴者を集めようと競争している。日本でもNetflixやAbemaTV、GYAO!などを、PCやTV…

自虐する音楽は閉じこもる:クロスレビューを終えて

「クロスレビュー」に参加した。異なる専門家が三人集まって、主宰する劇作家・岸井大輔とともにそれぞれにとって異分野となる作品をレビューしあうというもの。 yamamotokanako.hatenablog.com 私は『THERE IS NO MUSIC FROM CHINA』という、中国の、ビート…

中国における共産主義賛歌「インターナショナル」のあれこれ(2021年時点)

中国共産党は今年、党創立100周年を迎えた。党の創立記念日である7月1日、午前には天安門広場で式典が開催され、夜には党の100歳を華やかに祝うため、ダンス・音楽・映像などをかつての音楽劇『東方紅』さながら組み合わせた舞台パフォーマンスが開催され…