『薬の神じゃない!』から思い出した中国の音楽聴取方法との付き合い方

デイジョブはまったく中国もポピュラー音楽も関係のないアートマネジメントと呼ばれるような、ようは文化施設の何でも屋さんみたいなことをしている。たった週3での契約だが、週3であってもやり取りする人が私の週3出勤日に合わせて動いてくれるわけではないので、週3なのに週5以上で働いている感覚なのである。

だから、私にとって1週間でもまとまった休みが取れることは本当に貴重。不器用な私はなかなかデイジョブと中国モードを切り替えられない。年末年始、ここぞと大物記事に取り掛かる。

 

ざっくりした構成は1ヶ月前あたりに考えていたのだけれど、12月28日あたりから本腰いれて書き始めた。あ、ちなみにこの連載企画のひとつめの記事となる予定。

連載「アフターマス─COVID-19による東アジアのポピュラー音楽文化への影響」のお知らせ | Offshore

 

それにしても文字量が膨大になってしまい、焦っている。1万字は超えそうだから5000字程度ずつ、2回に分けるか、と算段していたのだけれど、出来あがってみれば約8000字ずつ。こんなに超大作、読んでもらえるだろうか……と不安になる。

 

しかし約1週間没頭して中国の文献や資料を漁り、少しずつ自分の言葉で纏めていくことの楽しさよ。今回書いた内容はもっと深められることなので、今回文献不足により断念したあっちの方面やこっちの方面の考察も加えていきたい。

 

この記事では、中国で90〜2000年代に見られた打口というおもしろい音楽メディアの文化も言及するし、中国では一時普通に行われていたネット上でのP2Pソフトなどによる音楽違法ダウンロードについても触れている。中国の特色ある音楽聴取方法について解説するのだ。まとめながら、ハッと思い出したのだけれど、前回書いた映画レビュー『薬の神じゃない!』で思い出した中国の倫理観、ここにも共通している。

 

『薬の神じゃない!』は、中国ではまだ販売が違法であったジェネリック医薬品をインドから密輸した主人公が白血病患者を助けるため安く売りさばく話だけれど、打口や音楽ダウンロードも共通しているかもしれない。中国の人たちは「法が絶対」と信じていないから、どうしても目的を達成するためにその方法しかないのであればそれを実行する。却って、日本はどうしてこれほどまで「法が絶対」と信用できてしまうのだろう?

 

昔、香港のライブハウスHidden Agendaのドキュメンタリー映画を日本で上映した時、観客の方から「違法は違法。どうしてちゃんと許可を取らないんですか?」と質問を受けたことがあった。日本は、「違法」の中には殺人も強盗も人が傷つかない犯罪も全てが含まれているようなイメージだけれど、中国の人たちは、「違法であったとしても殺人と強盗と人が傷つかない犯罪はそれぞれ違う」ことを知っていて、それぞれの倫理規範で行動しているのかもしれない。

 

新年快乐!

今年の目標は生活におけるデイジョブの存在感を薄くし、精神をより中国語圏に近づけていくことです。