"オンラインワークショップ 「ポピュラー音楽と文化助成〜COVID-19による影響」"を終えて

オンラインワークショップ 「ポピュラー音楽と文化助成〜COVID-19による影響」が終了。

プレゼン資料を作り始めると止まらなくなってしまった。これまで文化政策とポピュラーカルチャーのあいだで、両者を繋ぐ翻訳や通訳がされることがなく、言葉の選び方や要点の取り出し方にかなり時間を要した。

しかし、自分の頭の中だけではわかっていたけれどうまく言葉にできなかったこの両領域の「棲み分け」「考えの違い」みたいなところを、ある程度言語化できたと思う。

 

内容は、YouTubeで一定期間アーカイブ配信されております。

オンラインワークショップ「ポピュラー音楽と文化助成〜COVID-19による影響」 - YouTube

 

私は、ポピュラー音楽側の人たちが(過去の自分はそこにいた)、助成金文化政策に良いイメージを持っていないことが多い気がしていて、その誤解を解くことができればと思うし、どんどんポピュラー音楽側の人も「社会的効果のある表現活動をする」ことを、いっそのこと楽しんでほしいと思う。

私が例に挙げた「こんなんだったら申請書かけるかも」の例では、例えば子どもに対しての音楽をつくる教育をポピュラー音楽の人たちが担うこと。学校の音楽教育をはるかに凌ぐ面白い音楽教育プログラムを、ポピュラー音楽担い手の人々は作れるはず。もうひとつ、時間がなく例に挙げられなかったものとしては、継承が途絶えそうな民謡の採集をポピュラー音楽家がやり、現代のカタチにアップデートして発表し、地域に貢献するのはどうだろうか?というもの。これらは一例に過ぎず、ポピュラー音楽が社会的効果、社会への影響、波及をもたらすことのできるプログラムはごまんと考えられるはず。

 

ぶっちゃけた話、私も、昔は助成金とかが意味わからなかったし、本当に嫌いだった。助成金を得てやっている事業が。

ある時のこと。「自分が身銭を切ってやった過去のあのイベントと、公金が入っているこのイベント。これら2つの要素は非常に似ているのに、公金でやった後者は、後ろ盾もあるからきちんと集客ができている。こんなに腹立つことはない」と思い、その悔しさから、助成金を扱うような職に挑戦してみた。自ら身を投じて勉強してやろう、と。

 

当時の自分に伝えてあげられることがあるとすれば、「公金を使うってことは、社会や市民のために事業を行うということであり、それにはそれなりの責任が伴う。お金もらってるから大きなことができるのではなくて、お金もらうからにはきちんと大きくやらないといけないんだ」ということ。そして、公金をもらう場合の報告責任は重大。報告書に頭を悩ますぐらいなら自分のお金でやる方が楽、という考えも一理あり。

それが理解できてから、私は自分が好きなようにやりたいときは、赤字になったとしても、気持ちよくポケットマネーから予算を捻出する。(だから、大きなことに挑戦できていないとも言える。)

 

 

しかし一方で、ポピュラー音楽の楽曲制作やイメージ醸成の部分に助成金が入ると、それはプロパガンダ一歩手前でかなりまずいと思う。

そして、発表の最後で話したが、国の文化芸術推進基本計画に「文化産業」が2018年から入ってきたこと。これにより、「所得不足で黒字にならない」文化芸術が追いやられてしまわないかどうか、心配である。

 

今回のワークショップ、ディスカッションがなかなかエキサイティングでした。

やっとポピュラー音楽でこういった話がされるようになってきたことは、コロナのせいだけどコロナのおかげでもある。