沖縄県東村高江往訪記録 - 7月23日午前5〜7時頃

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 沖縄へ帰郷中の、アーティストの吉濱翔くんが高江に行くとのこと。タイからやってきた知人、The Reading RoomのKyoも高江を見たいとのこと。私は高江に行こうという予定はなかったのだが、翔くんがお昼出発の予定から、夜中2時出発に予定変更するとのことで、平日昼仕事をしている私も行けるようになった。7月23日の午前2時過ぎに那覇を出発し、何度か休みながら、午前5時すぎに高江に到着した。車に乗ったのは、吉濱翔くん(全路運転お疲れさま、ありがとう)、The Reading RoomのKyoと、私。

 AM5時すぎ、高江の共同売店に着く。吉濱翔くんの後輩が2名いる。後輩たちは、午前3時ぐらいに着いたらしいが、座り込みしている人や抗議活動をする人が見つからなかったらしい。後輩たちとおじさんが話していた。「この裏側の○○坪(かなり広大、数字忘れた)が買われた。そこが崩されて、その土が辺野古の埋め立てに使われる」とおじさん。


 一人のおばさんが軽自動車で到着。降りてきたおばさんが昨日の状況を話す。ニュースで見た内容とおばさんの話す内容がほとんど一緒だった。

 車で西廻りに北上。翔くんの後輩たちは原付バイクで来ており、車の後ろをついてくる。Googleマップで現在地を見ると、道の両脇とも、北部訓練場になるらしい。米軍基地は、Googleマップではグレーになっている。ただし道の両脇にフェンスはない。もしここで降りてこのジャングルに迷い込んだらどうなるのだろうか、と考える。

 

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 AM5:45頃。フェンスとゲートが左手に現れる。N4前に警備員。翔くんが、警備員はALSOKなどから派遣されていると言っていたが、確かにALSOKのロゴが見えた。

 昨日衝突の起こったメインゲートへ。片道一車線の道。ゲートに沿って、護送車数台、車が多数縦列に並ぶ。ゲートのフェンス向こうには警備員が10名近く。また車が多数並び、テントが2m×2mほどのテントがずらっと10個ほど並んでいる。このテントはどうやら座り込みの人たちのものに見える。座り込みや抗議行動の人たちはいなかった。

 もうしばらく北上するが、何もなさそうなのでUターンする。道が狭くUターンできない。しばらく走って少し広い道を見つけてやっとUターン。戻ったところでまた後ろに後輩の原付バイクが2台つながる。再びメインゲート前を通る。さっきは開いていた片方の一車線が、コーンとバーで封鎖されている。警備灯を持った警視庁の警官が私たちの乗った車を止める。警官は「どこに行かれますか?」と丁寧に聞く。運転席の翔くん「抜けます」と答える。「後ろの方も抜けられますか?」と聞く警官。翔くん「はい」と答える。そのままメインゲート前を南下して抜ける。

 翔くんと後輩たちの話では、共同売店で会ったおばさんは新川ダムの方向に行くと、なんとか、と言っていたらしい。新川ダムの方向へ左折する。

 Googleマップを追うと、途中で両脇グレーの北部訓練場を一瞬抜けた。パイナップル畑に入る。パイナップル畑を抜けると、N1南側のN1ウラテント。3m×5mほどのテント。その手前にフェンス。フェンスに沿うように、警察の濃い紺色のバン。さっき共同売店で会ったおばさんが、警察のバンの運転手席の窓をノックし続ける。おばさんはノックしながら「高江の自然を壊さないでください」と何度も大きい声で叫ぶ。

 AM6:10頃。テントの中に入り、名簿に名前を書く。テントにはキャンプ道具、カセットコンロなどが一通り揃っている。おじさんが一人テントの中に座っている。テントの外でぶらぶらしているおじいちゃんが一人。ここを4名ほどでまわしているらしい。おじさんは毎夜ここで泊まっているらしい。おじさんは、充電式の電池を持つようになって節約できるようになった、高いけれど元が取れた、と言いながら、電池を鞄から出していた。

 おばさんが警察のバンの窓をノックする音が強くなる。平手で窓を殴るような音が何回も聞こえて、「出て行ってください」というような内容の叫び声が何度も聞こえる。

 

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 おじさんの高江の説明が始まる。高江の地図を見ながら。昨日の朝の状況。やはりメインゲートの座り込みは排除されたとのこと。今座り込みの拠り所となるテントが残っているのは、このN1ウラテントのみとのことだった。おじさんはN1ウラテントの周りの動植物の話をする。ハブもカエルもたくさんいるらしい。カエルの合唱を聞いたことありますか?と、楽しそうに質問するおじさん。カエルは歌うときに呼応しあうとのこと。溝に落ちたカエルが、溝から上がることができずに干からびて死んでしまうことが多いので、このN1ウラテントの担当のひとりがカエル用のスロープを竹で作って溝に置いたとのこと。おじさんはたまに溝に落ちたカエルを見つけたら、長い火ばさみで掴んで上にあげてあげるらしい。しかし火ばさみだとどうも痛そうだと言う。おじさんはカエルの表情を真似しながら、お腹をこれで掴まれたら、溝からでれるけれどすごく痛そう、そこでこれを作った、と自慢げに見せたものが、マジックハンドの先の挟む部分にスポンジを付けたもの。これで挟んで上に逃がしてやるそうだ。

 また、ハブを見つけたときにハブに睨まれた話も聞いた。ハブを捕まえようとしたときに、逃げようとするハブが後ろを振り返りジロッと「痛いねん」というような顔をしてにらんだと言う話。おじさんは、このテントにいることで、動物や植物の小さな表情、動きに気づくことができたという。テントの壁にはこのあたりの植物や動物の図鑑になるような写真と説明がびっしり貼ってあった。

 

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 おじさんとおじいさんの話によると、今日は朝9時から工事が始まるらしい。抗議行動もそのあたりの時間から開始するとのこと。抗議行動を開始する時間を早めると、その分工事業者が混乱を避けるために早く来るようになり、どんどん早くなってしまって良くない、だから朝9時から開始するとのことだった。このN1ウラテントのフェンスは、昨日7月22日の未明に急に一瞬で建てられたらしい。テントの手前に1mほどの鉄パイプが地面に垂直に挿さっている。おじいさんはこれを指差して、「こんなところに挿したら、自分たちが車通れないのにね」と言う。

 

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 後輩二人を残して、N1ウラテントを出てHテントへ。N4前と同じように、ゲートとフェンスがしっかりできていた。テントはなかった。中にミーティングをしているらしき警備員が5名ほど。ゲートから道に向かってまっすぐ立った警備員が7、8人。そのまま通過したが、通過した先は展望台だった。

 

 展望台で、朝9時まで高江にいるか、ある程度状況が把握できたので今日はこれで帰るか相談をしていると、N1ウラテントに残してきた後輩二人も展望台にやってきて、少し話す。すべてのゲート・フェンスはすでに重厚にできていて、もう遅かったのかもしれないと話す。来るタイミングを間違えたかもしれない、と翔くんが言う。

 車がさらに2台やってきて、1台は共同売店で会ったおじさん、1台には抗議行動のためにやってきたらしい男性が二人、車の後ろを元気そうな雑種犬が走ってきた。一人の男性に高江の案内をしているようだった。犬は案内している人の飼い犬らしい。後輩の一人と犬がじゃれあって遊ぶ。

 

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 今日は那覇に戻ることにする。Hから高江集落のほうへ抜けて、名護方面へ。反対車線に、工事業者と思われる5台ほどの車の列が通る。5台ほどの車と計5回ほどすれ違う。プロボックスのような車体、ハイエースのような車体、軽バンなどが多い。工事用資材のようなものを運んでいるトラックもあった。少し遅れて、QABの報道車両ともすれ違う。

 東郵便局のあたりで少し休憩してから、那覇へ向かう。

 

2020年11月 noteより移行